27年度履修の手引き
I はじめに
システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム(SiMSプログラム)
産業が競争力を高め、イノベーションにより持続型社会を実現するため、グローバルリーダーシップを発揮できる博士研究人材が強く求められています。大阪府立大学・大阪市立大学はこのような人材育成を特段に強化する「博士課程教育リーディングプログラム」推進拠点の一つに文部科学省により選ばれました。産業界を牽引するグローバルリーダーを育成するための5年一貫制の博士学位プログラム「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム」です。
1. 教育目的
持続可能社会実現へ向け、エネルギー・産業資源等の確保困難性を前提にしつつ、安定的な環境と文明が維持できる産業スタイル、生活スタイルを実現するにあたって物質科学はその根底を支えています。例えば、太陽光など再生可能エネルギーの集約と蓄積、その有効利用などの革新的技術、生命現象の分子レベルでの解明から既存学問の枠を越えた健康、食料、環境問題へのアプローチなどは、持続可能社会設計の前提を刷新し、あるべき形を浮き彫りにする重要な要素となり得ます。一方、多くの要素が複雑に絡み合う持続可能社会実現に向けた課題解決を物質科学の立場から目指すには、例えば、システムにおいて機能を発現する物質、ビッグデータ等の新しい情報技術課題へアプローチできるナノ科学、などの複合的視点が不可欠であり、「ことづくり」の発想からフィードバックされた階層融合的な新しい物質科学の方法論構築が必須となります。本学位プログラムではこのような視点に立って、上記課題の解決にあたる以下のような資質を有する研究リーダーを養成することを目的とします。
2. 教育目標
- 豊かな教養をもち、工学が、自然、環境、社会、歴史、人間、文化とどのような関係にあるかを深く理解し、科学・技術が社会と自然に及ぼす影響を認識し、技術者が社会に対して負っている責任を自覚し、高い倫理観をもちます。
- 物質科学の基礎力を基盤とした専門知識と技術を体系的に理解し、分野を牽引することが出来ます。
- システム的発想から階層融合的に研究戦略を構築できる研究デザイン力をもちます。
- 基礎的研究を産業的イノベーションへ結びつける突破力とマネジメント力をもちます。
- 自らの発想を世界に根付かせるリーダーシップと国際発信力 をもちます。
- 単一階層に閉じた発想からは決して具現化しないイノベーションをエレクトロニクス分野、エネルギー分野そして生命科学分野へと誘導できる「ものからことへの生きたリンク」を構築できる「システム発想型」研究リーダーとしての資質をもちます。
- これらの素養を翼として、国際競争力を持ち、安全安心、且つ持続的社会実現に貢献できる新産業を創出できる「マネジメント力」をもちます。
3. カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施方針)
- 「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラムが目指す学修成果」の達成を目的として、5年一貫の教育課程編成を行います。
- 単一階層に閉じた発想からは決して具現化しないイノベーションをエレクトロニクス分野、エネルギー分野そして生命科学分野へと誘導できる「ものからことへの生きたリンク」を構築できる「システム発想型」研究リーダーを養成します。単に出口を見据えた研究手法を有する研究者を養成するのではなく、物質とシステムの情報を媒介とした新しい「ことづくり」の概念を創出でき、社会システムまでを見渡せる人材を養成するための異分野融合型・産学官協同型カリキュラムを提供します。
- リテラシー科目によって醸成される科学を俯瞰的に見ることのできる教養を基盤とした基礎教育科目を編成します。
- インターディシプリナリー科目(物質科学基礎科目、システム系基礎科目、研究室ローテーション)は、分野・階層横断的研究力を醸成する基盤となり、学生が幅広い学修と柔軟で俯瞰的な問題設定能力を身につけることを目指します。
- アイディエーション科目とグローバル科目は、複雑なものごとを俯瞰的に見る「システム思考」と、新しい発想を創造する「デザイン思考」、それらを具現化する「マネジメント力」を総合的に醸成するために構成され、本学位プログラムのカリキュラムの中心となります。
- アントレプレナーシップ科目とグローバル科目では、産業界、外国人と協同で講義・研究・演習などを行うことによって、グローバル化した産業界で生じる様々な問題を見いだし、その解決に応用できる能力(システム発想型問題設定力)を育成します。
4. ディプロマ・ポリシー(学修評価・プログラム修了認定の方針)
真理の探究と知の創造を重視し、自然環境と調和する科学技術の発展を図り、持続可能な社会の発展と文化の創造に貢献し、「エネルギー」、「エレクトロニクス」、「生命科学」分野における産業イノベーションをもたらすことをその基本の理念とします。この理念のもとで教育を実践し、修了が認定されるためには、
- 物質科学の専門分野をリードできる確固とした物質科学基礎力
- システム的発想から階層融合的に研究戦略を構築できるデザイン力
- 基礎的研究を産業的イノベーションへ結びつける突破力とそのマネジメント力
- 自らの発想を世界に根付かせるリーダーシップと国際発信力
に基づいて問題を認識し、評価し、解決する基本的な能力を培い、創造性と個性を伸ばし、豊かな教養、高い倫理観と専門能力を修得する必要があります。
特に本プログラムでは、システム系の発想で物質科学を俯瞰し、新しい問題点を見いだしているか、その問題点を解決するために必要な素養を得るために自らの力でデザインしたコースワークと研究計画が遂行でき、エネルギー科学、エレクトロニクスあるいは生命科学の分野で産業的イノベーションへ結びつける突破力とそのマナジメント力が養成されたか、が重要な評価基準となります。
5. 学位プログラムを実施する研究科、専攻及び学位プログラムを実施する専攻のコースの名称
【大阪府立大学大学院】
研究科名 | 専攻名 | 学位プログラムを実施する専攻に置くコースの名称 |
---|---|---|
工学研究科 | 機械系専攻 | リーディングプログラムコース |
航空宇宙海洋系専攻 | 航空宇宙工学分野リーディングプログラムコース 海洋システム工学分野リーディングプログラムコース |
|
電子・数物系専攻 | 数理工学分野リーディングプログラムコース 電子物理工学分野リーディングプログラムコース |
|
電気・情報系専攻 | 電気情報システム工学分野リーディングプログラムコース 知能情報工学分野リーディングプログラムコース |
|
物質・化学系専攻 | 応用化学分野リーディングプログラムコース 化学工学分野リーディングプログラムコース マテリアル工学分野リーディングプログラムコース |
|
量子放射線系専攻 | リーディングプログラムコース | |
生命環境科学研究科 | 応用生命科学専攻 | リーディングプログラムコース |
緑地環境科学専攻 | リーディングプログラムコース | |
理学系研究科 | 物理科学専攻 | リーディングプログラムコース |
分子科学専攻 | リーディングプログラムコース | |
生物科学専攻 | リーディングプログラムコース | |
情報数理科学専攻 | リーディングプログラムコース |
【大阪市立大学大学院】
研究科名 | 専攻名 | 学位プログラムを実施する専攻のコース |
---|---|---|
工学研究科 | 機械物理系専攻 | リーディングプログラムコース |
電子情報系専攻 | リーディングプログラムコース | |
化学生物系専攻 | リーディングプログラムコース |
II 履修要項
1. 授業科目の履修
在学する研究科専攻が定める教育課程の授業科目を履修するとともに、学位プログラムの教育課程の授業科目を履修してください。
2.履修科目とその単位
学位プログラムの履修科目、単位数、配当年次等は別表のとおりです。
この履修科目は学位プログラムのために編成されたものですので、所属研究科専攻で定めのあるものを除き各専攻の修了資格単位には含まれません。
3. 受講に関する事項
学年・学期、授業期間・試験期間、受講申請、成績・単位修得など、その他受講に関する事項は所属研究科の履修要項に準じます。
4. 共同実施する大学院での履修について
大阪府立大学大学院所属の学生が大阪市立大学大学院で開講する授業科目を、または、大阪市立大学大学院所属の学生が大阪府立大学大学院で開講する授業科目を受講するときは、事前に担当教員を通じて所属の教務担当窓口に申し出て所定の手続きを行い、当該大学院の学生証の交付を受けてください。
5. 達成状況の評価
学位プログラムの学修の達成状況の評価は、次表のとおり行います。
評価方法 | 実施時期 | 受験資格等 |
---|---|---|
SiMS Qualifying Examination | 2年次終了時 | リテラシー科目、インターディシプリナリー科目、アイディエーション科目の履修を指定する単位、計12単位以上(必修を含む。)を修得した者 |
SiMS Pre-Defense | 4年次終了時 | |
SiMS Defense | 5年次終了時 | 研究科専攻の博士課程後期の課程修了要件を満たす見込みの者で、別表の表中18単位以上(必修12単位を含む。)を修得した者 |
※この評価は、前表の受験資格を満たした者には実施時期を早めることがあります。
6. 進級要件
3年次に進級するには、次の要件を全て満たさなければなりません。
(1) 博士課程前期の課程を修了し、博士課程後期の課程に入学すること。
(2) 5.に記載のSiMS Qualifying Examination(SiMS QE)の審査に合格すること。
7. 修了要件
次の要件を全て満たし、学位プログラム修了と認定されたとき修了となります。
(1) 所属研究科専攻博士課程後期の課程の修了要件を満たすこと。
(2) 5.に記載のSiMS Defenseの審査に合格すること。
8. 学位の授与
学位プログラムの修了を認定された者は、所属研究科専攻において学位の授与が認定されたとき、所属研究科専攻の学位を次のとおり授与します。
【大阪府立大学】
工学研究科 | 博士(工学)(システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム) |
---|---|
生命環境科学研究科 | 博士(応用生命科学)(システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム) 博士(緑地環境科学)(システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム) |
理学系研究科 | 博士(理学)(システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム) |
【大阪市立大学】
工学研究科 | 博士(工学)(システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム) |
---|
9. 学修資格の喪失
このプログラムにおける学修の成果及び取り組み姿勢などを検討した結果、このプログラムの学修に不適格と判断されたときは、学位プログラムの学修資格を失います。
ただし、所属研究科専攻での履修・研究を妨げるものではありません。
10. その他
(1) 学修奨励金
このプログラムを学修する者が学業及び研究に専念できるように、希望者に対して所定の審査を経た上で、下記金額の奨励金(給付型)を支給する制度があります。なお、奨励金と重複して受給できない奨学金や給付型経費等が定められています。受給資格として、次に掲げる基準をすべて満たす必要があります。
① 独立行政法人日本学術振興会の特別研究員(DC)に採用されていないこと
② 独立行政法人日本学生支援機構の奨学金を給付または貸与されていないこと
③ 国費留学生として日本政府(文部科学省)の奨学金を受給していないこと
④ 外国人留学生で母国の奨学金を受給していないこと
⑤ 大学独自の奨学金を受給していないこと
⑥給与又は報酬(アルバイト料を含む。)を受給していないこと
⑦学位プログラムの実施に関連しないティーチング・アシスタント、リサーチ・アシスタント活動の対価を受給していないこと、又は学位プログラムの実施に関連して当該活動を週5時間を超えて行い、その対価を受給していないこと
奨励金の額は、次表のとおりです。
学位プログラムの学修年次 |
奨励金の額 |
---|---|
1年次―2年次 | 年額 1,200,000円 を限度とする。 |
3年次―5年次 | 年額 1,800,000円 から 2,400,000円 とする。 |
奨励金の申請方法等の詳細については、ホームページ等により通知します。
(2) このプログラムを学修する上で必要な海外研修などにかかる旅費等は、一定 額が支給されます。
(3) このプログラムを学修する者は、在学期間を通じて学生教育研究災害傷害保 険及び学研災付帯賠償責任保険又はこれらと同種の保険に加入しなければなりません。
11. 適用
このプログラムは平成26年度博士課程前期の課程入学生から適用されます。
ただし、平成25年度博士課程前期の課程入学生に限り、受け入れることがあります。
その他詳細については、
大阪府立大学 教育推進課 リーディングプログラム支援室(SiMS事務局)
または
大阪府立大学:教育推進課教務グループ(A3棟)
大阪市立大学:大学運営本部学務企画課 工学研究科・工学部教務担当
に問合わせてください。
リーディングプログラム支援室(SiMS事務局)
Email: SiMS-office@ml.osakafu-u.ac.jp
URL: http://sims-program.osakafu-u.ac.jp/
修科目及び単位 (2015年博士課程前期の課程入学者用)
科目区分 |
授業科目名 | 単位数○数字は必修 | 配当年次 | 履修を指定する単位数等 | |
---|---|---|---|---|---|
計 | 18単位以上(必修12単位を含む。) | ||||
リテラシー科目 | 科学リテラシー | ② | 1-2 | 4単位以上 | |
国際環境論 | 2 | 1-2 | |||
課題設定型演習 | 2 | 1-2 | |||
イノベーション創出型研究者養成 | ② | 1-2 | |||
インターディシプリナリー科目 | 分野・階層横断的研究科目 | SiMS特別研究 | ② | 1-2 | 2単位 |
物質系基礎科目(システム系学生履修科目) | 物質システム概論 | 2 | 1-2 | 各専攻が、学生の専攻のカリキュラムを勘案し、学生ごとに物質系基礎科目又はシステム系基礎科目のいずれかを選択する。各専攻が選択した科目の内から4単位以上 | |
エネルギー物質科学概論 | 2 | 1-2 | |||
エレクトロニクス物質科学概論 | 2 | 1-2 | |||
生体物質科学概論 | 2 | 1-2 | |||
プロセスシステム概論 | 2 | 1-2 | |||
生体システム概論 | 2 | 1-2 | |||
システム系基礎科目(物質系学生履修科目) | システム工学概論 | 2 | 1-2 | ||
エネルギーシステム概論 | 2 | 1-2 | |||
情報システム概論 | 2 | 1-2 | |||
電力システム概論 | 2 | 1-2 | |||
コミュニケーションシステム概論 | 2 | 1-2 | |||
バイオインフォマティクス概論 | 2 | 1-2 | |||
アイディエーション科目 | 戦略的システム思考力演習 | ② | 1-2 | 2単位以上 | |
国際アイディエーション演習 | 2 | 3-5 | |||
グローバル科目 | グローバルコミュニケーション演習 | 2 | 1-2 | 2単位以上 | |
グローバルリーダー演習 | ② | 3-5 | |||
アントレプレナーシップ科目 | 物質システムビジネス概論 | 2 | 3-5 | 4単位以上 | |
イノベーション創出型研究者養成I(TEC-I) | 2 | 3-5 | |||
イノベーション創出型研究者養成II(TEC-II) | ② | 3-5 | |||
イノベーション創出型研究者養成Ⅲ(TEC-III) | 2 | 3-5 | |||
イノベーション創出型研究者養成Ⅳ(TEC-IV) | 2 | 3-5 |
修科目及び単位 (2014年博士課程前期の課程入学者用)
科目区分 |
授業科目名 | 単位数○数字は必修 | 配当年次 | 履修を指定する単位数等 | |
---|---|---|---|---|---|
計 | 18単位以上(必修12単位を含む。) | ||||
リテラシー科目 | 科学リテラシー | ② | 1-2 | 4単位以上 | |
国際環境論 | 2 | 1-2 | |||
課題設定型演習 | 2 | 1-2 | |||
イノベーション創出型研究者養成 | ② | 1-2 | |||
インターディシプリナリー科目 | 分野・階層横断的研究科目 | SiMS特別研究 | ② | 1-2 | 2単位 |
物質系基礎科目(システム系学生履修科目) | 物質システム概論 | 2 | 1-2 | 各専攻が、学生の専攻のカリキュラムを勘案し、学生ごとに物質系基礎科目又はシステム系基礎科目のいずれかを選択する。各専攻が選択した科目の内から4単位以上 | |
エネルギー物質科学概論 | 2 | 1-2 | |||
エレクトロニクス物質科学概論 | 2 | 1-2 | |||
生体物質科学概論 | 2 | 1-2 | |||
システム系基礎科目(物質系学生履修科目) | システム工学概論 | 2 | 1-2 | ||
エネルギーシステム概論 | 2 | 1-2 | |||
情報システム概論 | 2 | 1-2 | |||
電力システム概論 | 2 | 1-2 | |||
コミュニケーションシステム概論 | 2 | 1-2 | |||
バイオインフォマティクス概論 | 2 | 1-2 | |||
プロセスシステム概論 | 2 | 1-2 | |||
生体システム概論 | 2 | 1-2 | |||
アイディエーション科目 | 戦略的システム思考力演習 | ② | 1-2 | 2単位以上 | |
国際アイディエーション演習 | 2 | 3-5 | |||
グローバル科目 | グローバルコミュニケーション演習 | 2 | 1-2 | 2単位以上 | |
グローバルリーダー演習 | ② | 3-5 | |||
アントレプレナーシップ科目 | 物質システムビジネス概論 | 2 | 3-5 | 4単位以上 | |
イノベーション創出型研究者養成I(TEC-I) | 2 | 3-5 | |||
イノベーション創出型研究者養成II(TEC-II) | ② | 3-5 | |||
イノベーション創出型研究者養成Ⅲ(TEC-III) | 2 | 3-5 | |||
イノベーション創出型研究者養成Ⅳ(TEC-IV) | 2 | 3-5 |