メッセージ 大阪市立大学

t.arakawa

荒川 哲男

SiMS全体責任者
大阪市立大学 学長

 


大阪市立大学は、都市「大阪」に立脚する我が国最大の公立総合大学であり、今年(2016年)で創立以来136年の歴史を有し、進取の気風あふれる建学の精神に基づく国際的にして自由で独創的な研究とそれを基盤とした教育によって、社会で指導的役割を果たす人材を育成してきました。しかし、時代は今、これまでに人類が経験してこなかった様々な難問とそれによる未来の不確実性を前にし、社会の持続的発展を支えるための「知の拠点」としての役割が大学に強く求められており、本学もそれに積極的に対応すべく改革を進めています。その一環として、大阪府立大学(工学研究科、生命環境科学研究科、理学系研究科)と本学(工学研究科)が共同で文部科学省の平成25年度「博士課程教育リーディングプログラム:複合領域型(物質)」に「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム」を申請して採択されました。このことは、これまで本学が不断の努力を行ってきた教育研究、産学連携、及び国際化の諸活動が高く評価されたことであり、大変喜ばしいことであると思っています。そして、プログラム履修生を迎えて順調かつ活発に運営が進んでおり、従来型の大学院教育では為し得ない新たな高度人材育成のフェイズの開拓と大学院改革への波及効果を期待しています。

「システム発想型物質科学リーダー養成学位プログラム」は、物質科学分野で産業界を牽引するグローバルリーダーを育成することを目的とした5年一貫制の博士学位プログラムです。近年、我が国の産業力の低下が問題となっており、本学位プログラムは、それを打破し、さらに、国際競争力を拡大させて産業の持続的発展を実現するための人材育成を提起しています。具体的には、「物質(もの)」の研究開発に「システム(こと)」の発想をダイレクトに融合し、素材から機能性物質・デバイス、さらにそれらを統括するシステムまでの階層が高度に融合された斬新なシステム発想型研究開発戦略を想起できる高度研究リーダーの育成です。そして、エレクトロニクス分野、エネルギー分野、生命科学分野、環境科学分野などにおいて、分野の単一階層に閉じた発想からは決して具現化しないイノベーションを生み出すことを目指しています。高い志を持った学生諸君が、本学位プログラムに積極的に参加し、未来に貢献できる優れた人材として成長することを期待しています。

最後に、本学位プログラムは、大学としての努力はもちろんのこと、大学と産業界との密接な連携によってその目的が達成できます。産業界の皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。